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中・上級台湾人日本語学習者によるラレテイル・テアルの習得

作者:許夏珮

出版社:瑞蘭國際有限公司

 

出版日期:2024/11/01

ISBN:978-626-7473-80-1

類別:論文專書

 

定價:450元

本書特色

本書特色

 

 本研究の日本語教育における意義として、次の4点が挙げられる。

 第一に、日本語の習得研究史において、初めてラレテイル・テアルを取り立ててそれぞれの習得を扱ったことである。第二に、日本語学における説を踏まえた上、新たに厳密な分類を行い、習得研究を進めたことである。第三に、テイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルを取り上げることでアスペクトの習得研究を深化したことである。第四に、ラレテイル・テアルの習得を学習者の言語理解能力と言語産出能力の両方から測定できたことである。

 

內容介紹

內容介紹

 

 本書は、日本語のアスペクト表現の一つとされる「ラレテイル」と「テアル」という言語形式に焦点を当て、中・上級台湾人日本語学習者によるその習得状況を明らかにするものである。

 

作者自序

作者自序

 かつて「上級日本語」の授業で、「台風が増えたのは地球の温暖化が原因だと見られている」という文に対し、「『見られた』が使えないのはなぜか」という学生からの質問があった。このことから学習者にとって受身形のラレルは理解しやすいが、受身形にテイルが後接する形のラレテイルの把握ができていないことが推測できた。そこで、ラレテイルのどこが難しいかを究明するため、第二章で新たにラレテイルの分類を行い、学習者の習得順序を分析することにした。


 次に、ラレテイルの分析を行う際に、テアルとの入れ替えが可能であることに気づいた(例:私の書斎にはきれいな花が生けてある/生けられている)。また、学習者はよくテイルとテアルの使い分けができない(例:電気が消えている/電気が消してある)と言うことから、テアルはどのような状況であれば他の表現に置き換えられるか、学習者は置き換えられる状況が理解できているかを探るために、第三章でテアルの習得研究を進めることにした。


 さらに、ラレテイルとテアルの分析において、運動が完成された後の効力を捉えるという「完成性」の用法が最も困難であることが判明しており、それは先行研究で明らかになったテイルの習得と共通している面がある(例:この図では細かい表示は略している/略されている/略してある)。そこで、同じ意味を表す三者の競合において、どれが優先的に使用されるかを明らかにするため、第四章でテイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルの習得研究を取り上げることにした。


 第二章~第四章において、学習者の言語理解能力を測定する文法テストと文法性判断テストを採用しているが、学習者の言語産出能力におけるラレテイルとテアルの習得状況を探るために、第五章において、「多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)」を利用し、日本語母語話者と台湾人日本語学習者の使用実態を考察した。上述した4つの研究を通して、これまでに検討されることのなかったラレテイル、テアル、そしてテイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルの習得状況を明らかにすることによって、アスペクトの習得研究のさらなる発展に寄与できればと願いつつ、その成果を教育の現場に還元し、指導法や教材作成などのヒントにするための努力をしてまいりたい。
 

目錄

​目錄

はしがき

 

第一章       序論

1-1    問題究明の出発点

1-2    ラレテイルに関する先行研究

1-3    テアルに関する先行研究

1-4    本研究の目的、方法及び概要

 

第二章       ラレテイルの習得

2-1 研究背景

2-2 先行研究

2-3 本研究における立場及び研究目的

2-3-1 本研究におけるラレテイルの捉え方

2-3-2 研究目的

2-4 研究方法

 2-4-1 調査対象者及び調査期間

 2-4-2 調査内容

2-5 結果と考察

 2-5-1 正用に関する分析結果

 2-5-2 誤用に関する分析結果

 2-5-3 考察

2-6 本章のまとめ

 

第三章       テアルの習得

3-1 研究背景

3-2 先行研究

3-3 本研究における立場及び研究目的

 3-3-1 本研究におけるテアルの捉え方

 3-3-2 研究目的

3-4 研究方法

 3-4-1 調査対象及び調査期間

 3-4-2 調査手続き

3-5 結果と考察

 3-5-1 配置の存在状態を表すテアルの使用状況

 3-5-2 形状的変化状態を表すテアルの使用状況

 3-5-3 無題化における行為の有効性を表すテアルの使用状況

 3-5-4 主題化における行為の有効性を表すテアルの使用状況

3-6 本章のまとめ

 

第四章       テイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルの習得

4-1 研究背景

4-2 先行研究

4-3 本研究における立場及び研究目的

 4-3-1 テイル・ラレテイル・テアルに共通する完成性の捉え方

 4-3-2 研究目的

4-4 研究方法

 4-4-1 調査対象者及び調査時期

 4-4-2 調査手順

4-5 結果と考察

 4-5-1 共起副詞のある文における使用状況

 4-5-2 共起副詞のない文における使用状況

4-6 本章のまとめ

 

第五章       自由産出に見られるラレテイル・テアルの習得

5-1 I-JASコーパスに関する研究背景

5-2 研究目的

5-3 研究方法

 5-3-1 調査対象

 5-3-2 調査内容

5-4 ラレテイルに関する結果と考察

 5-4-1 用法別による学習者の習得状況

 5-4-2 使用数と使用動詞

 5-4-3 文脈とタスクにおける使用状況

5-5 テアルに関する結果と考察

 5-5-1 用法別による学習者の習得状況

 5-5-2 使用数と使用動詞

 5-5-3 文脈とタスクにおける使用状況

5-6 テイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルに関する考察

5-7 本章のまとめ

 

第六章       結論

6-1 総合的考察

 6-1-1 ラレテイルの習得

 6-1-2 テアルの習得

 6-1-3 テイルと共通する完成性を表すラレテイル・テアルの習得

 6-1-4 自由産出に見られるラレテイル・テアルの習得

6-2 日本語教育への提言

6-3 本研究の日本語教育における意義

6-4 今後の課題

 

参考文献

資料

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